〇不動産の名義変更の事なら不動産名義変更相談センターへお任せください
受付時間 | 8:30~20:00 土日祝日も事前予約 営業いたしております。 |
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贈与による不動産の名義変更をご検討の方はご参照ください。以下のページをクリックされますと該当のページをご覧になれます。
〇相談には必ず贈与者の同席が必要ですか→こちら
〇非対面で本人確認できますか?→こちら(2023/01/06作成)
〇本人確認書類について→こちら(2022/05/09作成)
〇贈与者の住民票を取得する際の注意点→こちら(2022/12/13作成)
〇コンビニ発行の住民票についての注意点→こちら(2023/2/24作成)
〇未成年者にも贈与できますか?→こちら
〇未成年者が贈与することが出来ますか?→こちら(2021/10/04作成)
〇特別受益にご用心→こちら(2021/10/25作成)
〇贈与契約を解除(撤回)出来ますか?→こちら
〇贈与税がかかるので贈与を取り消したい場合→こちら(2022/05/18作成)
〇贈与登記前に贈与者が死亡した場合は?→こちら(2021/11/08作成)
〇贈与税の申告時期にお気を付けください→こちら
〇贈与を受けた不動産を売却する場合の注意点→こちら(2022/09/01作成)
〇確定日付を活用しよう→こちら
〇路線価とは→こちら
〇遺言との違い~生前贈与のメリット→こちら
〇土地の一部を贈与したい場合→こちら
〇土地の一部を贈与したい場合②→こちら
〇登記上の地目と現況地が異なる場合→こちら
〇遺留分に関する規定が変わりました→こちら
〇贈与契約書の作成は必要ですか→こちら
〇贈与にかかる税金~不動産取得税~→こちら
〇土地を贈与した場合の不動産取得税の税額→こちら
〇親(贈与者)等が認知症でも生前贈与できますか?→こちら
〇住宅ローン返済中の贈与→こちら
〇売買契約書は残しておきましょう→こちら(2022/12/16作成)
〇配偶者へ居住用不動産を贈与するメリット①~特別受益の持戻し免除→こちら
〇配偶者へ居住用不動産を贈与するメリット②~贈与税の配偶者控除→こちら
書類へのご署名・押印の際には贈与者(あげる方)の方に必ず本人確認及び意思確認をさせていただく必要がありますが、相談の段階では、贈与者(あげる方)の同席は必要ありません。従って、贈与者の方がお忙しくて、何度もご来所いただくのが難しい場合は、受贈者(もらう方)又はご家族の方がご相談に来られても対応させていただきます。ただし、上記にも記載させていただいてますとおり、書類へのご署名・押印の際に、意思確認及び本人確認は必要になってきますので、意思確認及び本人確認を一切無しでの対応をご希望の方には対応できませんので、ご了承ください。また、受贈者のみで来られる場合には、事前に贈与者に本当に贈与の
意思があるか確認しておいてください。
贈与登記の依頼される場合、贈与者様と受贈者様には原則として対面での本人及び意思確認を行って
います。従って、非対面での本人確認を行ってはおりません。しかし、お客様の様々な事情を勘案し
て当事務所の判断で、例外的に非対面での本人及び意思確認を実施することがございます。非対面で
行う場合、最低でも以下の条件を満たしている必要があります。
①権利証を紛失されていないこと
②運転免許証等の公的身分証明書(顔写真付)記載の住所に郵便物が届くこと
非対面での本人及び意思確認等の手続き詳細については、直接当事務所へお問い合わせください。なお、上記条件を満たしていても、当事務所の判断で原則通り対面による本人確認等を行う場合がありますので、ご了承ください。
贈与登記をする場合、贈与者の登記記録上の住所と現住所が異なる場合、住所変更登記
が必要となります。この住所変更登記においては、住民票等の添付が必要となりますが、
個の住民票の取得にあたっては注意が必要です。というのも自治体によっては取得者が
要望しないと前住所等を記載せずに発行するシステムになっているところがあるから
です。
当然、前住所の記載がない住民票を取得しても住所変更登記には使用することが出来
ませんので、取得し直しとなってしまいます。このような事態を避けるためにも取得
の際には、
「奈良県天理市〇〇町〇番地から現在の住所までの履歴が記載されている住民票
を発行して欲しい。」
と具体的に窓口で伝えましょう
贈与登記をする場合、贈与者の登記記録上の住所と現住所が異なる場合、住所変更登記が必要となります。この住所変更登記においては、住民票等の添付が必要となりますが、マイナンバ
ーカードを保持しているとコンビニで取得することが出来ます。しかしコンビニで取得する際には注意が必要です。一部の自治体では、コンビニで発行する住民票においては、住所の履歴が記載されない措置をとっています。住所変更登記においては、登記記録上の住所から現住所までの履歴が記載されたものが必要となり、履歴が載っていないものは使用できません。従って、コンビニで取得する場合は、必ず履歴が記載されているものが発行されるかどうか確認しましょう。
上記とは違い、未成年者が贈与者となることは出来るのでしょうか?
未成年者が贈与者となって、贈与する行為は単独で成し得る「単に権利を得、義務を免れる行為」には該当しませんので、親権者の同意を得て贈与するか、又は親権者が未成年者を代理して贈与することになります。
未成年者が贈与者となる場合、上記のように法律上は二通りありますが、登記実務においては圧倒的に親権者が代理して贈与及びそれに伴う登記手続きを行うことが多いです。
なお、この場合親権者であることを証する書面として、戸籍謄本等を添付する必要がありますが3か月以内の有効期限がありますので、注意してください。
また、未成年者が自己所有の不動産を親権者に贈与する場合、当該贈与行為は利益相反行為に該当しますので、特別代理人を選任する必要があります。
生前贈与をするにあたって、特別受益制度に気を付けないといけません。特別受益制度を簡潔
に説明すると、遺贈や生前贈与によって、相続人の中に特別の利益を受けた者がいる場合、他
の相続人との不公平感をなくすために、具体的相続分の算定に当たっては、当該贈与又は遺贈
を受けた財産の額を控除する制度です。具体的には以下の例を使って説明します
(例)〇被相続人Aには、相続開始時に1000万円の財産がある
〇Aの相続人は子であるB及びCのみ。
〇Bは、Aから不動産(1000万円)の生前贈与を受けている
①生前贈与が特別受益とみなされない場合の具体的相続分
B=500万円(1000万円×1/2)
C=500万円(1000万円×1/2)
②生前贈与が特別受益とみなされる場合の具体的相続分
B=0円((1000万円+1000万円)×1/2-1000万円)
C=1000万円((1000万円+1000万円)×1/2)
このように、生前贈与を受けると、相続時の具体的相続分が無い又は減少したりする可能性があります。
しかし、この特別受益制度は贈与者の意思表示によって除外する事も可能です。この意思表示
の方法は、法律上では口頭でも可能ですが、口頭ですと、紛争のリスクがありますので、実際は贈与契約書又は遺言等の書面によってなされます。
贈与契約書を作成後又は、贈与登記を申請後は出来ません。
そもそも、贈与は書面による贈与においては撤回出来ないと民法で規定されています。
そして、不動産の贈与においては、贈与契約書が作成されることが通常であり、また作成されなくても、不動産の登記申請時に登記原因証明情報が書面による贈与における「書面」と解釈される可能性が高いです。
従って、上記の通り贈与契約書を作成後又は、贈与登記を申請後は出来ないと考えられます。また登記原因証明情報が書面による贈与における「書面」にあたらないと解釈される場合でも、登記申請後は贈与者の意思表示だけでは申請を取下げすることは出来ませんので注意してください。
これは贈与登記の申請は、贈与者及び受贈者双方の意思によって行われているものであるから、申請意思の撤回である取下げも贈与者及び受贈者双方の意思表示がないといけないからです。従って、受贈者に取り下げの意思がない以上、そのまま登記手続きは進み完了してしまいます。
こうした事態を避けるためにも、贈与をする場合には後で撤回したいと思わないように意思を固めてからしましょう。
贈与契約は締結したが、登記をする前に贈与者が死亡した場合、登記手続きはどのように行えば良いのでしょうか?
実務では、贈与者が登記前に死亡している場合、贈与者の相続人が贈与者が負っている贈与登記を行う義務を承継したとして受贈者と贈与者の相続人全員(受贈者が相続人の場合は受贈者含む)が協力して登記手続きを行います。
しかし、仲の悪い相続人がいる、音信不通の相続人がいる等で相続人全員の協力が得られないという事態が起こりえます。
このような他の相続人の協力が得られない場合は、残念ながら、弁護士を通じての和解交渉、訴訟を提起し勝訴判決を得る等の行為を経て登記手続きを行うしか方法がありません。
従って、贈与契約を締結した場合は、速やかに登記手続きを行っておきましょう。
贈与による不動産の名義変更をすると、必要になってくるのが、贈与税の申告です。具体的は贈与を受けた翌年のおおむね2月1日~3月15日(土日にあたる場合は期間がずれる場合があります)に申告する必要があります。例えば、平成30年12月に贈与を受けた場合は、平成31年に申告しますが、平成31年1月に贈与を受けた場合は、平成32年に申告をすることになります。また相続時精算課税や夫婦間で居住用の不動産等を贈与した場合における配偶者控除等の非課税又は軽減制度の適用は申告期限内の申告を要件としており、申告しないと適用が受けられなくなります。このように、贈与を受けた時から、申告時期まで期間が空く場合、ついうっかりと期限内に申告するのを忘れると、加算税が課せらるだけでなく、軽減措置等が受けられなくなるということになりかねませんので、申告時期を確認し、忘れないように注意してください。また忙しくてなかなか申告できないという方は、税理士に依頼することも検討しましょう。当事務所でも税理士を紹介することができますので、お気軽にお問い合わせください。
(申告を要件としている贈与税の軽減措置の代表例)
〇直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置
〇相続時精算課税制度の選択
〇夫婦間で居住用不動産を贈与した場合における配偶者控除
贈与された不動産を売却する場合、翌年の譲渡所得の申告には注意が必要です。相続と違って贈与の場合、前所有者の取得価格を引き継ぐことは出来ません。
従って、譲渡益が発生することになりますので、譲渡所得税を納めなければならない可能性が高くなります。従って、売買代金を申告までに使い切ると納税できなくなりますので注意しましょう。
ただし、贈与を受けた不動産が自宅であった場合は、居住用不動産の特別控除(3000万円)が適用できますので、必ず税務署や専門家に相談しましょう。
皆さん、確定日付制度をご存じでしょうか。確定日付制度は簡単に言うと、公的機関が「文章が一特定の日に確かに存在していましたよ」とお墨付きを与えてくれる制度です。
手続きは簡単です。確定日付を付与してもらいたい文書(贈与契約書)を作成し、一定の公的機関に申請すれば、文書に日付が入ったスタンプを押印してもらえば終了です。本人が行く必要もありませんし、代理人が行く場合でも委任状は必要ありません。
また手数料も700円と、公正証書と違い低額です。しかし確定日付はあくまでも文書の存在を立証するもので、文書の内容の真実性を立証するものではありませんので注意が必要です
確定日付を付与できる機関としては、公証人役場が有名ですが、実は法務局でも付与してもらうことができます。特に奈良は、公証人役場が2か所しかありませんが、法務局は5か所(2020年11月1日現在)ありますので、利用しやすさで選択できます。
ここまでお読みいただいた方の中には、「確定日付を付与してもらうメリットは?贈与契約書を作成しただけではだめなの?」と疑問をお持ちの方もおられるのではないでしょうか?
実は、何らかの事情で贈与から登記まで期間があく場合に確定日付が有効です。贈与契約書は後から贈与の日付を遡って作成できるため、贈与の日より登記まで期間があいた場合、登記をしただけでは、本当にその日に贈与があったのか、故意に当事者が遡らせたのか第三者から判断できません。従って贈与契約書を作成しただけでは、その日付の有効性について第三者から争われることがあります。この日付が争われると贈与税の課税に関して不利益になる場合があります。以下の事例をご覧ください。
①Aさんは令和1年11月1日に100万円相当の甲不動産の贈与を受けたが、諸事情に
より契約書を作成したが登記をしなかった。
②Aさんは、令和2年11月1日に100万円相当の乙不動産の贈与を受け、①の甲不動産
とともに贈与登記をした(日付は甲不動産については、令和1年11月1日付、乙不動産
については令和2年11月1日付)。
この場合、Aさんの主張が認められれば甲不動産については、令和1年の基礎控除(110万円)内、乙不動産については令和2年の基礎控除(110万円)内であるため、贈与税は課税され
ません。
しかし、万が一税務署から①及び②の贈与が令和2年にされたものと認定されてしまうと、基礎控除(110万円)を超えるため、贈与税が課税されてしまいます。
この場合、①の時点で作成した贈与契約書に確定日付を取得しておけば、その時点で贈与契約書が存在していたことが公的機関によって立証されますので、税務署が甲及び乙不動産の贈与が令和2年に贈与したものと認定するこは困難になります。
なお、①の時点で登記をした場合は、このような問題は起こりません。①の時点で登記をしているということは、その時点で登記に必要な贈与契約書ないし贈与の事実を記した文書である登記原因証明情報が存在していることが明らかであるからです。
不動産を贈与する際に、注意しなければならないのは、贈与税です。この贈与税は、一般的に
贈与する不動産の価格に対して税額が決定します。この不動産の価格が安ければ、贈与税が非課税あるいは低額になり、逆に高ければ高額になります。
では、この不動産の価格はどのように決めるのでしょうか?固定資産評価額でしょうか?そ
れとも公示地価、基準地価でしょうか?実はどれも違います。贈与税における不動産の価格は
毎年7月に税務署が発表する路線価で決定します。この路線価は道路に1㎡あたりの金額を付
けています。例えば、対象土地が100㎡で、土地が接している(又は付近の)道路の路線価が
金47000円だと、不動産の価格は47000円×100=470万円となり、対象土地を贈与するこは、
470万円を贈与したことになります。この場合の贈与税額は金47万円又は44万円(特例税率の場合)となります。
この路線価は、毎年7月1日に発表され国税庁のホームページに掲載されます。なお路線価がない地域もあり、同時に評価倍率表というものも発表されます。路線価がない地域では、固定資産評価額に評価倍率表記載の倍率を乗じて算出します。なお1月1日~6月30日までに贈与する場合は、まだその年の路線価等が発表されていないため、前年の路線価を参考にして贈与税の額を検討することが一般的です。
〇路線価図(国税庁)→こちら
〇贈与税の早見表(国税庁)→こちら
生前贈与とよく比較検討される制度が遺言です。よく生前贈与は贈与税がかかるというデメリットがあるので、遺言書を作成しておけば良いという意見があります。しかし生前贈与にも
遺言制度にはないメリットがあります。それは贈与を受けた日から自分のものになるという点です。一方遺言制度は作成しても、効力は遺言者が死亡した日に生じますので、直ちに自分の所有になりません。また遺言書作成後から効力発生までに、対象の不動産を第三者に売却されたり、差押えを受けたり等した場合、受遺者(遺言で財産を貰う予定の者)は自分の権利を主張することはできません。
一方、生前贈与は先ほど述べた通り、直ちに受贈者(贈与を受けた者)の所有となるので、上記のようなリスクはありません。また親の土地に自宅を建設しているような事例の場合、借り換えや、リフォームローンで新規に担保設定する時には、親の同意が必ずひつようになってきます。しかし、このような事例で、親から土地の生前贈与をうけると、いちいち親の同意を得ることなく、借り換えや、リフォームローンを組むことができます。
また、親から子供に贈与をする場合、要件を満たせば2500万円までは、贈与税が課税されない相続時精算課税制度を利用することができます。このように、生前贈与にも、遺言制度にはないメリットがありますので、生前贈与をご検討の方はお気軽にお問い合わせください。
土地の全部ではなく、例えば、100㎡の土地の内西側10㎡部分等一部を贈与したいとお考えの方も多いでしょう。このような場合、贈与登記の前提として、100㎡の土地を10㎡と90㎡の二つの土地に分ける必要があります。このように一つの土地を二つ以上に分ける登記を分筆登記といいます。この分筆登記を一般的に高額な費用(数十万円以上場合によっては100万円を超える場合もあります)がかかり、また分筆登記を取り扱えるのは、土地家屋調査士という国家資格を有する者だけしか行えません。当事務所でも提携している土地家屋調査士がいますので、対応することができます。また事前に分筆登記にどれぐらい費用がかかるか不安な方でも見積を依頼することができますので、お気軽にお問い合わせください。
なお、分筆登記はには分筆前の土地の広さ・隣接地の数・地積測量図の有無・境界がはっきりしているか等によって費用が大きく異なります。従って、御見積は精度を高めるために調査が必要となり、概算等を口頭で即答できるものではありませんので、ご了承ください。
土地の登記上の地目が現況と異なる場合があります。例えば、田を造成し、宅地に変更したとしても、自動的に登記上の地目は変更されず、地目変更登記をしなければ変更されません。
このように、地目変更登記がなされないままの状態で放置すると登記上の地目と、現状の地目が異なるということが起こります。
登記上の地目と現状の地目が異なっていても、通常通り贈与による名義変更(贈与登記)をすることができるケースがありますが、登記上の地目が農地(田・畑)の場合は別です。
この場合、贈与登記の前提として、必ず地目変更登記をしなければなりません。子の地目変更登記は土地家屋調査士が行いますが、当事務所では提携している土地家屋調査士がおりますがのでお気軽にお問合せ下さい。
但し、農地(田・畑)から非農地(宅地等)への転用行為が、適法な許可を受けてなされたものならば問題ありませんが、適法な許可を受けずに転用したもの、いわゆる無断転用である場合は、後付けで転用許可の取得や、逆に農地への回復命令や無断転用したとして罰せられる事もありますので、あらかじめご了承ください。
従前は、生前に相続人に贈与した場合、贈与した時期に関わらず、遺留分の算定の基礎となる財産に贈与した財産の価額も加えられていました。例えば、相続開始時に残っていた相続財産が3000万円しかなくても、過去に相続人に1000万円の土地を贈与していた場合、遺留分の算定の基礎となる財産は4000万円(3000万+1000万円)となり、結果として遺留分権利者の遺留分が、増加することになっていました。
しかし、今回相続に関する法制度の改正にともなって、この遺留分の規定も変更となり、相続人に対する贈与は、相続開始前の10年間にされたものに限って、遺留分算定の基礎となる財産に加えるとされました。
従って、先ほど述べた例の贈与が、相続開始の11年前にされたものの場合、加算されず、遺留分算定の基礎となる財産は3000万円となり、遺留分権利者の遺留分は減ることとなります。
なお、この規定は生前贈与に限ったものであり、遺言にはこのような効力はありません。従って今後は、遺留分対策として、生前贈与を選択するということも検討していく必要があると思われます。
ただ、この規定は2019年7月1日に施行されていますので、それよりも前に生じた相続については、従前の規定すなわち、相続人に対する贈与は時期に関わらず加算されるということになりますのでお気を付けください。
贈与登記の場合、登記原因証明情報という書類を作成し、法務局に提出して行います。この
登記原因証明情報には、贈与者が対象不動産をいつ受贈者に贈与したかを記載し、贈与者が
署名・押印します。従って、単純に贈与した事実の証拠を残したいだけなら、登記原因証明
情報を2通作成し、1通を法務局に提出し、1通を手元に残しておけば良く、あえて別に契
約書を作成する必要はありません。
逆に、負担付贈与である場合や、贈与にいろいろな条件を付けた場合(瑕疵担保責任等を負わない旨の特約等)は、登記原因証明情報にはそれらの条件等は記載されませんので、契約書を
作成する必要性が高いと言えます。
このように、贈与契約書を作成するかどうかは、単に贈与した事実だけを証拠として残したいかによって、決めるべきでしょう。
贈与による名義変更をすると、贈与税が課税されるという事は広く知られていますが、不動産取得税が課税されることは、あまり知られていません。贈与税は国税であるのに対して、不動産取得税は地方税です。従って、贈与税での特例的な制度(相続時精算課税、配偶者への居住用不動産を贈与した場合の特別控除、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置)を利用して贈与税が課税されなくても、地方税である不動産取得税にはそのような特例制度がないので、課税されます。
この不動産取得税は、原則として取得した者が申告し納付する形態となっていますが、実務上は、申告しなくても課税される場合は、県税事務所から納付書が送付されてくるのが一般的です。また納付書が送られてくる目安ですが、奈良県の場合、不動産を取得してから6か月~10か月ほどかかるといわれています。ただし、奈良県が公表した目安ではないため、実際には前後する事もあり得ますので、ご注意ください。
その他、不動産取得税についは下記に奈良県のページをリンクしておきますので、そこでご参照ください。
不動産取得税/奈良県公式ホームページ→こちら
土地を贈与した場合、法務局に納める登録免許税や贈与税の他に地方税の不動産取得
税が課税されることは上記で述べました。以下に概略等を記載しておきます
①不動産取得税の特例
課税価額の3%
→なお課税価格とは原則として市区町村に備え付けの固定資産課税台帳の評価
額のことをいいます。なお固定資産税の納税通知書に附属の課税明細には
固定資産税課税標準額と評価額が両方きさいされており、間違いやすいの
でご注意ください。
②宅地の特例
令和6年3月31日までに宅地を取得した場合、課税価格は評価額の1/2とさ
れています。なお現在は令和6年3月31日までとされていますが、これまで
も延長を繰り返していますので、は令和6年4月1以降も継続される可能性は
高いと思われます。
③非課税
不動産の評価額が10万円未満の場合は課税されません。
④不動産取得税の具体的な税額
(例)評価額800万円の宅地を令和3年8月1日に贈与した場合
800万×1/2×3%=12万円
親等(以下「贈与者」)から生前贈与を受ける場合、贈与者が認知症にかかっていると、贈与者に意思能力すなわち財産処分能力があるかないかが問題となります。意思能力がないと判断されれば、生前贈与したとしても、その生前贈与行為は無効とされてしまいます。
では、認知症を発症したからと言って直ちに、意思能力がないとされるのでしょうか?実はそうではありません。認知症であっても、程度によっては、意思能力があると判断されることもあります。しかし、認知症の人が、意思能力すなわち生前贈与をしても後で無効とならない財産能力を有しているかどうかを判断する事は、一般人はもちろん、司法書士や弁護士でさえ判断は難しいものです。
そこで、贈与者が認知症である場合、医師に診察してもらい、意思能力があるかないかを判断してもらいましょう。そして将来のトラブル防止のために、口頭ではなく贈与者が意思能力すなわち財産処分能力が有るといった旨の診断書をかいてもらいましょう。この場合、診断書を取得してから速やかに生前贈与行為をすることが重要です。期間が空きすぎるとその間に認知症がすすみ、意思能力がない状態になることにつながりかねないからです。
一方、贈与者が認知症で意思能力がない場合、成年後見制度を利用して生前贈与行為をしようと検討される方がおられます。しかし成年後見制度を利用したとしても、生前贈与はできません。成年後見制度は、被後見人の財産を保護つまり減らさないようにするための制度であり、
生前贈与のような、被後見人の財産を減らすような行為はできないからです。
贈与登記が完了すると、贈与者名義の権利証は効力を失います。従って、残しておいても廃棄してもどちらでも構いません。しかし、贈与した不動産を購入したときの売買契約書は残しておきましょう。なぜなら、将来受贈者が贈与を受けた不動産を売却した際に必要となるからです。
贈与を受けた不動産を売却すると譲渡所得税が課税されます。この譲渡所得税は売却か価格から取得費用等を控除した額に税率を算出して決定しますが、贈与を受けた不動産の場合、贈与者の取得価格を引き継ぐことが可能です。この点、贈与者の売買契約書があれば、取得価格が判明し、引き継ぐことが容易ですが、売買契約書を紛失していると取得価格の立証が困難となり引き継ぐことが出来ません。
従って、贈与者の売買契約書は安易に破棄せずに大切に保管し、受贈者に引き継ぎましょう。
住宅ローン利用するする際には、ほとんどの場合抵当権設定契約を結ぶことになります。この抵当権設定契約の中には、担保がついている不動産を処分(名義変更)する際には、住宅ローン会社(金融機関等)の承諾を得なければならないという旨の条項が入っています。
では、住宅ローン返済中に、贈与をしたくても住宅ローン会社の承諾が得られないという事があるのでしょうか?
実は、住宅ローンの借主(以下「借主」とします)の名義がすべてなくなるといったようなケース以外では、すんなり承諾が得られることが多いのが実情です。ですので、
〇親名義の土地に、借主(子供)が家を建築した場合で、底地の贈与を親から受ける場合
〇義親名義の土地に、借主(婿・嫁)が家を建築した場合で、底地の贈与を借主の配偶者(義
親の実子)が受ける場合
〇借主名独所有の土地建物の一部を、借主の配偶者又は子に贈与する場合
などは、すんなりと承諾を得られる事が多いですので、それほど心配する事はないでしょう。
逆に、
〇借主名義の土地建物の全てを、配偶者又は子に贈与する場合
のような場合、借主名義がすべてなくなることに該当しますので、承諾を得られるかどうかは
配偶者等が金融機関の審査に通るかにかかってきます。もし、審査に通らずに承諾が得られないときに、どうしても贈与したいときにとりうるべき手段としては
①残債を一括返済できる場合は、一括繰り上げ返済をする
②受贈者(配偶者等)を借主として、他の金融機関で借り換えることを検討する
の二つの方法が考えられます。この二つの方法が困難な場合は、住宅ローンの完済が終わるまで、贈与することを控えましょう。間違っても、承諾を得ないで贈与しないでください。住宅ローン会社(金融機関等)に発覚すると、一括返済を求められる恐れがあります。
以前は、配偶者へ自宅等の居住用不動産を贈与しても、配偶者の受け取る相続分には何の影響を与えませんでした。これは特別受益の持戻し制度(以下「持戻し」とします)によるものです。この持戻しとは、相続人が生前贈与を受けた場合、相続財産を被相続人死亡時の財産だけでなく贈与した財産を加えるというものです。さらに相続分の計算においては、以下の計算式で算出します。
持戻し後の財産×法定相続分-贈与を受けた額
もっとわかりやすく説明するために、以下の具体例で説明します。
(具体例)
被相続人死亡時の財産 1億円
相続人→妻、長男、長女
被相続人が生前に贈与した自宅の額 金2000万円
妻の相続分は2分の1ですので、単純に計算すると受け取る相続分は5000万となり贈与の額とあわせると7000万になりそうですが、持戻しが入るためこのようにはなりませんでした。持ち戻しが入ると、(1億円+2000万)×1/2-2000万=4000万となり、贈与を受けた額とあわせると、6000万となります。もうおわかりと思いますが、この持戻し制度によって、いくら生前贈与を受けても、合計で贈与を受ける前の財産の額に法定相続分割合を乗じた額を超える財産は受け取ることができませんでした。
しかし、この制度によって、長年苦労をともにした配偶者に自宅を贈与しても、相続時に配偶者が取得できる現金等の相続財産が増えず、残された配偶者の生計の維持に困難が生じるというような弊害が生じていました。そこでこのような弊害をなくすために、一定の婚姻期間以上の夫婦間における居住用不動産の贈与については、贈与者が持戻しを免除する意思をもって贈与したものと推定することになりました。この結果、上記の例だと合計で7000万取得できることになり、当該生前贈与はいわば遺産分割の対象外とすることが出来ます。なおこの制度の施行日は2019年7月1日ですので、それ以前(2019年6月30日まで)に贈与を受けたものについては残念ながら、適用はありません。なお具体的な要件は以下のとおりです。
(要件)
①婚姻期間が20年以上の夫婦であること
→事実婚ではなく、法律婚であることが必要だと思われます
→離婚と再婚を繰り返していた場合の婚姻期間の計算については
今後の解釈にゆだねられますが、税法上の取り扱いでは離婚
していた期間の除くという事になっていますので、これが今後
の一つのめやすとなると思われます。
②贈与の対象が居住用不動産であること
→テナントビル・アパート・マンション等の収益物件の場合は
対象外です。
③贈与時又は贈与時の近い将来に配偶者が贈与を受けた不動産に居住すること
→この要件は、明文の規定はありませんが一般論として贈与をした時点
で贈与者が持戻しの意思表示をしたと推定されることから、この要件も
必要となる可能性が高いです。
今回の相続法改正は、このような夫婦間の贈与にも影響を与えています。既存の贈与税における夫婦間での居住用不動産の贈与に対する配偶者控除とあわせて、今後はこの制度のメリットも加わり、夫婦間で居住用不動産を贈与する件数も増加すると思われます。夫婦間で自宅を配偶者へ贈与することをご検討の方は当事務所に、お気軽にお問い合わせください。
(この記事は、2020年10月20日時点の国税庁のタックスアンサーを基に、概要を記載していま
す。個別具体的な事案につきまして、必ず事前に税理士や税務署にご確認下さい。)
配偶者に、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭を贈与した場合、一定の要件を満たせば最高2,110万まで控除(通常は110万円)することができます。では、どのような 場合にこの特例が適用されるのでしょうか。具体的な要件について紹介いたします。
(要件)
①夫婦の婚姻期間が20年を経過した後に行われる贈与であること
→法律上の婚姻期間が20年であることが必要です。従って
事実婚のご夫婦や、事実婚の期間を含めると20年経過している
が法律婚の期間は20年経過していないご夫婦の場合は
適用されません。
→結婚してから現在までの間に離婚期間がある場合は、離婚期間は婚姻
期間に含みません。この場合の計算式は以下のようになります。
最初の婚姻期間+再婚後の婚姻期間≧20年
②贈与される不動産が居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭であること
→収益不動産(アパート)や贈与した金銭で収益不動産を取得した場合は適用
されません。
→居住用不動産(建物)の敷地となっている土地のみの贈与も含みます
③同じ配偶者から、過去に贈与を受け配偶医者控除を適用したことがないこと
④贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭
で取得した 居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込
みであること
→贈与された不動産に住まない又は、直ぐに売却する予定がある、既に住んでいる場合は
直ぐに引っ越す予定がある等の場合は適用されません。
⑤適用を受けるための申告をすること
→無申告の状態ですと、控除を受けられませんのでご注意ください。