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海外在住の相続人(邦人)がいる場合の手続き

海外在住の相続人(邦人)がいる場合の相続手続きについて解説しています。

〇印鑑証明書を取得できる場合があります→こちら(2023/05/17作成)
〇サイン証明書とは→こちら
(2023/05/31作成)
〇在留証明書も準備しよう→こちら
(2023/06/07作成)
〇在留証明書取得に必要な書類とは→こちら
(2023/11/05作成)
〇協議書よりも協議証明書を→こちら(2023/06/19作成)
〇協議証明書への署名は必ず大使館(領事館)で!!→こちら
(2024/01/12作成)

印鑑証明書を取得できる場合があります

遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成しなければなりません。この遺産分割協議書には印鑑証明書も添付しなければ手続きを行えませんが、印鑑証明書は日本に在住していないと取得できないと思い込んでいませんか?実は在外公館によっては印鑑証明書を発行してく
れる大使館(領事館)があります。印鑑証明書を取得できるメリットは
日本に在住している場合と何ら変わらず手続きできる点です。手順は
  
  ①遺産分割協議成立
     ↓
  ②協議成立後、協議書を作成し海外在住の相続人(邦人)に送付
     ↓
  ③海外在住の相続人(邦人)は②の書類を受け取り書類に署名・押印
     ↓
  ④
海外在住の相続人(邦人)が日本国内の相続人等に③の書類を印鑑証明書と
   ともに送付。


となります。従って、海外在住の相続人がいる場合には、まず当該相続人の居住地を管轄する
大使館等に印鑑登録及び印鑑証明書の交付が可能かどうか、可能なら必要書類は何か等を問い合わせることから始めましょう。なお参考に在タイ日本大使館のホームページを掲載しておき
ます。
   
   〇在タイ日本大使館→こちら

なお、上記は海外在住の相続人が不動産を取得しない場合を想定していますが、不動産を
取得する場合又は取得しなくても印鑑証明書に住所が記載されていない場合は在留証明書も
必要となります。

サイン証明書とは?

海外在住相続人の居住地を管轄する領事館等が印鑑証明書を発行できない場合は、サイン証明書を取得する方法で行います。なおサイン証明書の正式名称は署名証明書と言いますが、サイン証明書の方が広く知れ渡っていますので、この記事ではサイン証明書で統一します。サイン証明書とは、署名が本人の署名に間違いないことを証明する書類であり、この証明書には、合
綴型と単独型の2種類あります。


①合綴型タイプのサイン証明(形式1)
 これは、遺産分割協議書等の私文書とサイン証明書を合綴しているタイプのサイン証明書
 のことをいいます。このタイプの証明書のメリットはサイン証明書のサインが本人である
 ことだけでなく、合致されている協議書等に本人がサインしたことまで証明してくれるとい
 う点にあります。
ただ、この形式のサイン証明書は私文書ごとに取得しなければならない
 ため、複数の金融機関の被相続名義の預貯金がある場合は手間がかかるというデメリット
 があります。なお相続登記に使用する場合は、こちらのタイプの証明書を取得することを
 おすすめします。

②単独型のサイン証明書(形式2)
 ①に対して、証明書に記載されたサインが本人の者に間違いない旨を証明したものが単独
 型となります。この単独型は署名すべき書類が手元になくても発行可能であることと、一
 枚が独立していますので、使い回しが可能という点
がメリットといえるでしょう。しかし、
 大きなデメリットもあります。それは独立しているため、遺産分割協議書等のサインとの
 照合が容易ではないという点です
。従って、①と比べると提出先の判断によっては受け付
 けて貰えない可能性は高まります。

在留証明書も準備しよう

海外在住の相続人がいる場合、必ず在留証明書も取得しておきましょう。在留証明書とは
住所証明書のことで、日本における住民票のかわりとなるものです

ところで、ネットや書籍では、在留証明書は相続財産を取得する場合のみ必要と解説され
ることもあります
。これは過去においては、サイン証明書に署名者の住所も記入されてい
たからです。

しかし、現在のサイン証明書に署名者の住所が記載されていないため、相続登記において
は相続財産を取得しない相続人であっても在留証明書を要求されますので、注意しましょう。在留証明書がないと遺産分割協議書に記載された署名者と相続人本人との同一性が確認で
きないからです。従って、海外在住の相続人がいる場合は、当該相続人が遺産を取得する
しないにかかわらず在留証明書を取得しておきましょう。
特に領事館又は大使館から遠方
に居住してなかなか行くことが出来ない場合はなおさらです。

在留証明書取得に必要な書類

在留証明書を取得するために必要な書類の代表例は下記の通りです。しかし、領事館(大使館)によって取り扱いが異なる場合もございますので、取得される際は必ず事前に直接問い合わせる等をして、確認しておきましょう。

〇日本国籍及び本人確認ができる書類(旅券等)
〇住所を確認できる書類
 →現地の加官公署が発行する滞在許可証・運転免許証・納税証明書等
〇滞在開始時期が確認できる書類
 →滞在ビザ、アメリカにおけるグリーンカード、EU諸国におけるレジデントパーミット等
  が該当します。
〇在留証明書の本籍地に都道府県名のみならず番地まで記載したい場合は戸籍謄抄本
 →相続手続きでは番地まで記載しておいた方が無難です。


なお、在留証明書は原則3か月以上の滞在期間がないと発行されませんが、3か月未満であっても、滞在が3か月以上と見込まれる時は、発行される場合があります。

協議書よりも協議証明書を

海外在住の相続人がいる事例において、当該相続を含む全相続人との間で遺産分割協議が成立した場合、作成するのは遺産分割協議書ではなく、遺産分割協議証明書にしましょう。
通常、遺産分割協議書は一通の書類に、全相続人が署名及び捺印します。しかし、これでは海外に相続人が在住している場合は、持ち回りで署名捺印しなければならず、時間がかかってしまうというデメリットがあります。
一方、遺産分割協議証明書は、相続人毎に証明書を作成し署名捺印を各自行うため、持ち回りする必要がなく、協議書と比較すると時間がかかりませんそして名義変更の手続きにおいては、全相続人分の証明書を提出して行われますが、相続人が日本在住であっても、それぞれ遠方に住んでいるため一堂に会する機会が少ない事例等で広く用いられています。
このように、海外に相続人が在住している場合は、遺産分割協議証明書を活用した方が時間がかからないためおすすめです。

 

遺産分割協議証明書への署名は必ず大使館(領事館)で!!

海外在住の相続人(邦人)が遺産分割協議証明書に署名する場合、サイン証明書が必要なことは別記事で説明したとおりです。
ところで、サイン証明書を貰いに大使館(領事館)に行く前に、絶対にしてはいけないことは
何かご存じですか?
それは、事前に遺産分割協議証明書へ署名してしまうことです。事前に署名してしまうことです。事前に署名されますとサイン証明書の交付を受けることが出来ません。
従って、海外在住の相続人には必ず大使(領事)の前で署名することを説明しておくべきです。
 

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